コラム

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FP相談室講師による特別寄稿
2023.01.19

個人賠償責任保険と自転車保険

個人賠償責任保険と自転車保険

毎月(株)ポラーノ・コンサルティング代表のファイナンシャルプランナーであり、FP相談室講師でもある深澤泉さんに保険コラムを執筆していただきます。
著者の深澤さんはFP相談室設立当初よりFP相談を担当されており、 独立後も外部コンサルタントとして各TECの相談を担当。会社の各種制度を熟知して、ソニー社員ならではの悩みを解決していらっしゃいます。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が教育費について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


1.はじめに

今回は個人賠償責任保険の基本的なしくみと自転車保険との関係、最近補償内容の範囲が拡大されている動きについて解説します。

2.賠償責任とそれを補償する保険

賠償責任とは、日常生活における偶然な事故により、第三者の生命または身体を害したり、第三者が所有する物を壊したりして、法律上の責任を負担することをいいます。
具体的には、

・自転車を運転していて通行人と衝突してケガをさせてしまった
・飼い犬が他人をかみケガをさせた
・マンションで風呂の水道を止め忘れて水漏れを起こし、階下の住戸に損害を与えた

などの際に、第三者に対して損害賠償を行ったケースです。

これを補償するのが個人賠償責任保険です。
保険金額は1事故に対して1億円などのように限度額がある場合や、限度額がない場合もあります。
一般的にこの保険商品だけで契約することはできず、火災保険や自動車保険の特約として契約します。

3.最近加入が義務付けられている自転車保険との関係は?

最近多くの自治体で、自転車を運転する人に対して「自転車保険」の加入を義務付ける動きがみられます。
これは、近年自転車運転中に歩行者と衝突してケガをさせて、高額な賠償判決が出ていることが背景です。
例えば2013年の神戸地裁の判決では、11歳の小学生が夜間に自転車で走行中、歩行中の62歳の女性と正面衝突し、女性は頭がい骨骨折で意識が戻らない状態となったもので、9,521万円の支払いを命じられた事例があります。

自転車保険の基本的なしくみは、前述の個人賠償責任保険がベースとなっています。
さらに自転車乗車中に運転している人自身が転倒してケガをしたときの補償がついているものも一般的です。
自動車保険のように自転車乗車中のトラブルでロードサービスが付いたものや、加害事故を起こした際の示談交渉サービスがついているものもあります。

なお、自治体で加入が義務付けられている保険は、必ずしも自治体が推奨している自転車保険である必要はなく、個人で加入している個人賠償責任保険でもよいとされています。

4.補償内容の範囲を拡大する動き

通常、個人賠償責任保険から保険金が支払われるためは、第三者の身体を害したり、第三者が所有する物に損害を与えたりするという実際の損害が発生することが前提でした。
したがって、電車を運行不能にしただけでは電車の車両自体に損害が生じたものではないため、従来の個人賠償責任保険では補償の対象となりませんでした。

最近、個人賠償責任保険の補償内容について、「日本国内で電車を運行不能にしたりして、法律上の損害賠償責任を負った場合」を追加して、補償の範囲を拡大する損害保険会社が増えてきています。

5.さいごに

ソニーグループの社員である皆さんには、「セーフティプラン」の制度があり、その中の「Lタイプ」では、個人賠償責任保険(家庭賠償)があります。
1事故1億円を限度に支払われます。セーフティプランでは、他の商品と組み合わせることなく、単独で加入することができます。

さらに、第三者から借りたもの・預かったものに損害を与えたケースを補償する「受託物賠償」が1年間20万円を限度(自己負担額5,000円)もセットされ、保険料はその合計で月額130円(2023年)と安価で大きな補償が得られます。

第三者への損害賠償責任を把握し、しっかりと補償できる資力を確保しておきましょう。