コラム

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FP相談室講師による特別寄稿
2023.09.12

50代社員の死亡保障・医療保障の見直し!

50代社員の死亡保障・医療保障の見直し!

FP相談室講師にコラムを執筆していただきます。今回はソニーグループ出身で在職中はFP相談室室長として活躍され、現在もFP相談室講師をされている佐々木荘二郎さんに保険コラムを執筆していただきます。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が福利厚生保険制度について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


50代の方の保険の見直しは、定年の時期が視野に入っていることもあるのでしょうか、相談を受ける機会は多いですね。保険の加入内容はこのままで良いのか?老後に備え、保険料負担をもっと下げられないのか等の、どちらかというと現状の保障内容のスリム化に関する相談が目立ちます。
では具体的にどのような相談が多く、どのような解決方法があるのか、死亡保障医療保障に分けて解説をしたいと思います。

1.死亡保障の見直し

大きな死亡保障が必要なケースは、生活費に加え、教育費がかかるケース!
死亡保障は、一家の大黒柱の方に万が一にあった時に、残される遺族の生活費を準備するものです。
そう考えると、独り者であるとか、子供のいない夫婦である場合には、教育費がかからない分、それほど大きな死亡保障にはならないケースが多いです。

大きな死亡保障が必要なケースは、子供がおり、生活費に加え、教育費がかかるケースです。
たとえば、子供が2人いる4人家族のケースでは、子供がまだ小さいころであれば、3,000万円から4,000万円の死亡保障が必要になるでしょう。

■万が一の必要保障額は逓減する!
しかし、子供の成長に従い、その後にかかる教育費、生活費の必要額は逓減して行きます。
適宜、死亡保障の額が妥当かどうか見直しをしましょう!
不要となる死亡保障の額は減額し、保険料負担を下げましょう。

必要保障額の減額は教育費の負担をポイントに考える!
死亡保障の額は、幼稚園から大学までの平均的な教育費総額から考えてみましょう。

幼稚園(私立)➡ 小学校(公立)➡ 中学校(公立)➡ 高校(私立) ➡立大文系
3年で159万円  6年で160万円   3年で147万円  3年で291万円  4年で688万円

◎総額 1,445万円    (文部科学省「平成30年度子供の学習費調査より」)

教育費の総額の70%以上は高校・大学に集中しています!
→死亡保障は中学教育終了までは減額がしにくい!
高校に入ったところから大学教育終了までで4,000万円程度から1,000万円程度にまで、徐々に下げるのが良いのでは?
(当初の保険金を4000万円と仮定したケース)

以下の様なイメージです。

幼・小・中学校まで・・・➡高 校・・・・ ➡大 学・・・・・➡最終教育終了
4,000万円でスタート   ➡3,000万円へ  ➡2,000万円へ  ➡1,000万円へ
(減額の金額はあくまで目安です。)

余分な保険料を払うことがないように、適宜死亡保障を見直し、保険料負担を下げ、その分を老後の資金に回したいですね!

2.医療保障の見直し

■医療保障をどうするかは方針の決め方にあります!
医療保障は死亡保障とは違い、自分自身や扶養している家族(特に配偶者)の病気やけがの場合の保障であるために、これからもずっと長く必要なものとなります。
家族全体の医療保障に対する方針を決めておくことがポイントになります。

健康保険+預貯金でカバーする方法!
医療保障は健康保険+預貯金でカバーするという考え方です。
病気やけがで医療費がかかる場合ですが、基本的には健康保険があります。
高額で医療費がかかるケースでも、ある一定以上の医療費がかかった場合、高額療養費の還付の制度があるために、負担が無制限に増えることはありません。老後の医療保障は健康保険のみでカバーするという方針にするのもひとつの考え方です。
もちろんすべて健康保険だけで賄えるものではないので、足りない部分は預貯金もある程度は使うことになります。
医療保障分の預貯金は準備しておく必要はあります。

健康保険+医療保険+預貯金でカバーする方法!
健康保険でカバーできない部分を医療保険でカバーするやり方です。
医療費の自己負担(3割)分、病気やけがで入院をした場合の、差額ベッド代や自己負担分の食費、入院時の諸雑費等は健康保険ではカバーされません。

また大きいのは最先端の医療技術である、「先進医療」が使われる疾病だった場合です。
90%以上は「がん」の場合と言われていますが、先進医療の技術料は健康保険ではカバーされませんので、100%自己負担になります。
可能性が高いわけではありませんが、先進医療が使われるケースでは、その技術料が1セットの治療で200万円から300万円かかってしまうケースもあります。

このように、健康保険でカバーできない部分は、医療保険も使うのが有効かもしれません。。

→すでに医療保険に加入しているというケース

・すでになにがしかの疾病で医療保険を使ったことのある場合、新規で医療保険の加入は難しくなるので、
 現在加入中の医療保険を大事に継続するのが良いかもしれません。
・保険料負担に問題がなく、保障内容に満足しているのであればそのまま保険継続が良いのですが、   
 保険料負担が厳しい場合、減額で継続できる場合があります。

例えば、会社の福利厚生制度のセフティプランの場合、CプランからB,もしくはAプランに変更するなどで負担を下げることができます。
また、オプションを外すことでも保険料を下げることが可能です。
民間の医療保険では、入院給付金10,000円から5,000円に変更することや、不要な特約を外す方法でも負担を下げることができる場合があります。


→これから医療保険に新規加入しようとするケース


・保険料は固定的にかかってくる費用なので、長期に渡る場合は高額になり、老後の資金にも影響します。
 老後資金が十分かどうかをシミュレーションしましょう。
 老後の資金が厳しい場合、医療保険をやめて健康保険ベースで医療保障をカバーするといいう方針に変更する手もあります!
・1入院の平均の入院日数は、30日程度ですので、入院給付金は5,000円、支払限度日数も60日程度で十分ではないでしょうか?
 また、先進医療の給付金が1,000~2,000万円程度あれば十分と思われます。

・加入には健康上の告知が必要になります。健康上の問題がある場合、保険の引き受けが断わられる場合もあります。
 引き受け緩和型の保険もありますが、保険料が割高になる場合もあるので、慎重に対応を!

10.まとめ

いずれにしても、死亡保障の減額は教育費の推移をポイントに!
医療保障は「我が家」の医療保障の方針決めがポイントです!

※保障の内容については各制度のパンフレット・約款をご確認ください。