総合個人年金の賢い受け取り方(1)~一時金・年金の違いと考え方のポイント~

5つの制度の活用事例や新制度の特集コラムを掲載しております。
毎月、FP相談室講師にコラムを執筆していただきます。今回はソニーグループ出身で在職中はFP相談室室長として活躍され、現在もFP相談室講師をされている佐々木荘二郎さんに保険コラムを執筆していただきます。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が総合個人年金の受け取り方について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。
総合個人年金(ガッチリプラン、マイプラン)は、安全で着実に資産を増やすことのできるソニーグループの福利厚生の貯蓄制度です。
多くの社員の方に利用され、人気もある優れた商品であることは疑いもありませんが、今回は、積み立て終了後にどのように受け取ることが可能なのか、どのように受け取るのが有利なのか等を検証してみたいと思います。
1.一時金で受け取る
2.年金で受け取る
それぞれの受け取り方の注目すべきポイントを考えてみましょう!
1.一時金で受け取る―税法上一時所得となります!
一時所得が総合課税であることがポイント!税金の負担を考慮しよう!
・一時金で受け取る場合、一時金の金額とそれに対する支払い保険料の差額(運用で増えた部分)が一時所得として税金がかかります。 ・一時所得の額の1/2がその年の他の所得と合算され総合課税されることがポイントです。 →つまり、所得税は累進課税なので、年収が高い年に一時金を受け取ると、税負担が重くなってしまうのです。 |
■試算をしてみましょう。
(この原稿での税金の計算は、すべてのケースで一時金の額(もしくは年金原資の額)は1,000万円とし、それに対しての払込保険料総額は900万円として試算をしています。)
・一時所得の額の計算
一時金1000万円 支払保険料の額900万円
1,000万円-900万円-50万円(※)=50万円(一時所得の額)
※一時所得額の年間の控除額:50万円
一時所得の額×1/2(25万円)➡他の所得と合算され総合課税となる。
(一時所得の控除後の金額がゼロであれば税金はかかりません。)
・納税額の計算
<年収800万円の年に一時金受け取りをした場合>
年収800万円(限界税率20%)の年に一時金1,000万円を受け取った場合 1,000万円 ― 払込保険料総額900万円 - 控除額50万円 = 一時所得50万円 一時所得の額の1/2(25万円)がその他の年収に合算され総合課税 課税所得25万円に対し 所得税 51,050円(復興特別税込み)・住民税 25,000円 合計税負担76,050円 |
<年収300万円の時、(もしくは年金生活時に)一時金受け取りをした場合>
年収300万円(限界税率5%)の年に一時金1,000万円を受け取った場合 1,000万円 ― 払込保険料総額900万円 - 控除額50万円 = 一時所得50万円 一時所得の額の1/2(25万円)がその他の年収に合算され総合課税 課税所得25万円に対し 所得税 12,762円(復興特別税込み)・住民税 25,000円 合計税負担37,762円 |
年収800万円の年に一時金で受け取った方が、年収300万円時に受け取った場合に比べ、税負担が2倍ほどになることがわかります。
税負担だけがすべてではありませんが、一時金での受給で考慮してもよいポイントかと思われます。
2.年金で受け取る―税法上、雑所得となります!
年金で受け取る場合、その年の年金の支払い時に年金額からそれに対応する保険料を必要経費として控除して残った部分が雑所得になります。
雑所得=年金年額-必要経費(※)
→雑所得として他の所得と合算され、やはり総合課税となる!
※必要経費の計算方法と課税対象額については以下の通りです。
※1 年⾦開始後の配当により増額された年⾦は除きます
※2 払込保険料総額とは全期間の年⾦をお受け取りになるためにお払込みいただいた⾦額です
※3 年⾦⽀払⾒込総額とは、保証期間にお受け取りいただく年⾦の総額です。
なお、保証期間付終⾝年⾦の場合には、保証期間または年⾦開始時の平均余命のどちらか⻑い期間にお受け取りいただく年⾦の総額(⾒込みの額)です。
■税金はどの程度?
20年確定年金で年金原資1,000万円だった場合(支払保険料総額900万円)
年金年額55.8万円-必要経費44.95万円=10.85万円(雑所得)
年金生活時であると仮定をすると限界税率5%で所得税が5,538円です。
住民税10,850円、この額が年金受給時に毎年かかる税負担となります。
年金で受け取る場合のポイント!
年金で受け取る場合、雑所得として課税されますが、年金は、長く、薄く受け取をしていくことになるので、税金、社会保険料に影響はするものの、年金の受け取に関しては、いかに自分のライフプランに最適な受け取り方にするかを考えることがより重要なポイントになるのではないでしょうか? つまり、公的年金(厚生年金、終身の年金)、DC(確定拠出年金、最長20年の年金)との組み合わせの最適化を考えることです。 60歳からの5~10年間の収入の落ちる時期を埋めようとするのか、DCの年金が終了後をカバーするのか?終身受け取りで長生きリスクを埋めるのか、等です。 |
■年金の種類と受取額について
(すべて年金原資が1,000万円あった場合の基本年金額となります。)
10年確定年金 | 15年確定年金 | 20年確定年金 | 15年保証期間付終身年金 (男性・60歳年金開始) |
15年保証期間付終身年金 (女性・60歳年金開始) |
15年保証期間付夫婦連生終身年金 (60歳年金開始) |
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給付期間 | 10年間 | 15年間 | 20年間 | 終身(ただし、15年保証期間付き) | 終身(ただし、15年保証期間付き) | 終身(ただし、15年保証期間付き) |
基本年金年額 | 約1,052,320円 | 約723,090円 | 約558,800円 | 約487,470円 | 約430,960円 | (保障期間中または本人生存中) 約430,540円 (保証期間経過後で、本人死亡後かつ配偶者生存中) 約258,320円 |
受取総額 (15年の保証期間中) |
約10,523,200円 | 約10,846,350円 | 約11,176,000円 | 保証期間(15年)中の受取総額 約7,312,050円 |
保証期間(15年)中の受取総額 約6,464,400円 |
保証期間(15年)中の受取総額 約6,458,100円 |
・確定年金で受け取る:確実に年金額を受け取ることのできる年金です。
10年・15年・20年の確定年金があります。
例えば、20年確定年金を選択した場合、20年に満たないうちに本人に万が一のことがあった場合でも、残りの期間分の年金は法定相続人が受給できます。
確実に年金原資を上回る受給額になる年金が確定年金です。
・終身年金で受け取る:公的年金以外ではほぼ終身の年金のなくなった今、長生きリスクに対応するには終身年金を!
15年保証期間付終身年金・15年保証期間付き夫婦連生終身年金があります。
本人が存命である限り、一生涯年金が受給できます。ただし、保証期間(15年)中に本人に万が一のことがあった場合、年金は保証期間分しか受け取ることができません。(60歳男性の場合、保証期間内の受取総額は約73%となる)
また、保証期間終了後に万が一のことがあった場合、その時点で年金は終了となります。
夫婦連生終身の場合は、本人に万が一のことがあっても、配偶者が存命の場合、終身の年金は配偶者に引き継がれます。ただ年金の額がそれまでの60%になります。(保証期間中の受け取り総額は約64.5%となる)
・尚、こんな受け取り方もできる!
受け取りを最大で退職後10年間遅らせる「繰り延べ」を選ぶこともできます。
繰り延べ期間中、拠出はできませんが、その時点の予定利率による運用は行われます。
例えば、60歳から69歳まで繰り延べで増やし、70歳から20年の確定年金で受け取った場合、89歳までの年金となり、資産寿命を延ばすことが可能です。
マイプランの場合、一部一時金、残りを年金といった受け取り方も可能なので、税金のかからない程度の額を一時金で受け取り、残りを年金にするといった受け取りも可能です。(この場合、事務局を通し試算をしてもらう必要があります。)
確定年金を選び、確実に年金金を受給するのか、終身年金を選び長生きリスクに備えるのか?慎重に考えたいですね。
他の年金との最適化を考えた受給方法については次回のコラムで特集します。