コラム

5つの制度の活用事例や新制度の特集コラムを掲載しております。

FP相談室講師による特別寄稿
2025.04.21

老後資金の準備は・・・
一時積立ができ、年金化が可能な総合個人年金を活用しよう!

老後資金の準備は・・・ <br />一時積立ができ、年金化が可能な総合個人年金を活用しよう!

毎月、FP相談室講師にコラムを執筆していただきます。今回はソニーグループ出身で在職中はFP相談室室長として活躍され、現在もFP相談室講師をされている佐々木荘二郎さんに保険コラムを執筆していただきます。

ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が総合個人年金の受け取り方について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


1.老後の資金不足は深刻?

近年、資産形成の必要性が強く叫ばれています。
人生の3大資金需要とは住宅資金、教育資金、老後資金になりますが、誰にでも共通して必要な資金は老後資金でしょう。

特に、インフレによる物価上昇で年間の生活費が高騰している中で、「マクロ経済スライド制」(年金の受給額を抑制する仕組み)が3年連続して発動され、年金の受給額が目減りしていますので、老後の資金不足は深刻です。

<老後の不足資金はどのくらい?>
◎高齢者の生活費-社会保障給付=老後資金の不足額とした場合

                                (単位:円)

西暦 月額生活費 社会保障費/月年間30年間 不足額
月額 年間 30年間 月額 年間 30年間
2024 286,876 3,442,512 103,275,360 225,182 2,702,184 81,065,520 22,209,840

                     (2024年総務省家計調査より)

65歳~30年では2,220万円程度不足することになります。
今後のインフレ、マクロ経済スライド制による目減り、を加味すると、将来の不足額は3,000万円近くになるのではないかと予想をしています。
その問題の解消になると思われるマイプランの一時積立について考えてみましょう。

2.総合個人年金の特徴を復習しておきましょう!

マイプラン 生命保険料控除対象で節税になる貯蓄商品。一時積立可。
ガッチリプラン 個人年金保険料控除対象で節税になる貯蓄商品。一時積立不可。

この制度は上記の2つをうまく組み合わせ使うのがメリットを最大化するコツです!

<マイプラン、ガッチリプランの主な違い>                                

マイプラン ガッチリプラン
保険料控除 一般の生命保険料控除 個人年金保険料控除
一時積立(在職中) ×
(ただし退職時一時積立は可能)
中断
(※1)
×
一部払出し(減口)
(※2)
×
年金受取方法 年金コース、一時金受取り 年金コース、一時金受取り

※1 中断事由(1)災害、(2)疾病・障害(親族の疾病・障害・死亡を含む)、(3)住宅の取得、(4)教育(親族の教育含む)、(5)結婚(親族の結婚を含む)、(6)債務の弁済、(7)その他の加入者が掛金の拠出に支障のある場合
※2 一部払出し(減口)事由(1)災害、(2)疾病・障害(親族の疾病・障害・死亡を含む)、(3)住宅の取得、(4)教育(親族の教育含む)、(5)結婚(親族の結婚を含む)、(6)債務の弁済

マイプランのメリット
通常、個人年金保険では一時積立はできませんが、マイプランはそれが可能です!
よって、一時積立で余裕資金を使い積立金残高増やすことができます。
また、受給は、一時金での受け取りに加え、長い期間の年金での受け取りが可能で、
10,15,20年の確定年金に加え、終身の年金受け取りもできるのがメリットとなります。

一時積立のデメリットは?
しかし、一時積立金から若干の運営事務手数料が積立金から控除される関係で、
積立分がプラスになるには3年程度かかります。
よって、3,4年で取り崩して使うつもりではメリットがありません。

「マイプラン」は、-積み立て後4,5年以上運用してから使う
もしくは、積み立て後、年金化して受給する(10・15・20年、もしくは終身)場合に大きなメリットがある商品です!

<積立金額(年金原資)1,000万円を年金で受け取った場合の金額>

15年確定年金
(60歳年金開始)
20年確定年金
(60歳年金開始)
15年保証期間付
終身年金
(男性・60歳年金開始)
15年保証期間付
終身年金
(女性・60歳年金開始)
15年保証期間付
夫婦連生終身年金
(60歳年金開始)
給付期間 15年間 20年間 終身(ただし、15年保証期間付き) 終身(ただし、15年保証期間付き) 終身(ただし、15年保証期間付き)
基本年金年額 約723,090円 約558,800円 約487,470円 約430,960円 (保障期間中または本人生存中)約430,540円(保証期間経過後で、本人死亡後かつ配偶者生存中)約258,320円
受取総額 約10,846,350円 約11,176,000円 保証期間(15年)中の受取総額約7,312,050円 保証期間(15年)中の受取総額約6,464,400円 保証期間(15年)中の受取総額約6,458,100円
平均寿命(※)
(男性81歳、女性87歳)まで生存した場合の受取総額
約10,846,350円 約11,176,000円 約10,236,870円 約11,635,920円 約10,591,260円※同じ年齢のご夫婦がそれぞれ平均寿命まで生存した場合
(※)出典 厚生労働省 第23回生命表 / 令和2年


20年の確定年金で受け取った場合、年額55.88万円の年金が20年間確実に受け取れるので、総額約1,117万円の受け取りとなります。

終身年金の場合、本人が存命の場合、生涯の年金になります。
60歳男性の場合、年金年額が48.7万円/年なので、平均寿命の約81歳まで生きたと仮定をすると
受給総額は約1,024万円となります。

60歳女性の場合、年金年額が43.1万円/年なので、平均寿命の約87歳まで生きたと仮定をすると
受給総額は約1,164万円となります。

(備考)終身年金受け取りの場合:保証期間中に年金受給者に万が一のことがあると受給総額が年金原資を下回ります。 

3.マイプランの一時積立をどう生かす?

A:一時積立を使って年金原資(積立金)を増やす!
B:そしてなるべく長い期間の年金で受給をし、年金資金の寿命を長くする!
A+Bであることがメリットを最大限に生かすコツです!


例えば、60歳時の残高が500万円の場合、
500万円を年金原資とすると24.35万円の終身年金にしかなりませんが、
一時積み立てを駆使し、年金原資を1,000万円にすることができれば
48.7万円の終身年金 月額約4万円の年金にすることができます。

老後の収入の流れのイメージ図(PDFファイル)

20年確定年金の例
60歳 マイプラン年金原資1,000万円(一時積み立て500万円含む)
年金年額   60歳~55.8万円  20年
厚生年金   65歳~ 220万円  終身
確定拠出年金 65歳~ 80万円  20年
◎60歳~5年間の収入がマイプランで安定 ! 

終身年金の例
60歳 マイプラン年金原資1,000万円(一時積み立て500万円含む)
年金年額    60歳~ 48.7万円  終身
厚生年金    65歳~  220万円   終身
確定拠出年金  65歳~  80万円  20年
◎60歳~5年間の収入と85歳以降の収入がマイプランで安定!

一時積立できる金額は3,000万円となります。

4.まとめ

インフレの時代です。
生活必要資金は高騰していますが、年金の給付はマクロ経済スライド制で抑えられる方向性です。
老後資金不足に対する対策が必要です。
DC(確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)等も駆使し、総合的に対応をすることが必要であることはもちろんですが、
マイプランの一時積立で年金原資を増やし、より長い年金受け取りで老後資産の資産寿命を延ばすことは
その助けの一助になるのではないでしょうか?この機会に考えてみませんか?