コラム

5つの制度の活用事例や新制度の特集コラムを掲載しております。

FP相談室講師による特別寄稿
2025.09.10

もしFP相談室講師がソニーグループ社員だったらどんな資産形成をする?
30代シングル編 ~緊急予備資金が貯まったら、投資比率をアップしてみよう~

もしFP相談室講師がソニーグループ社員だったらどんな資産形成をする?<br />  30代シングル編 ~緊急予備資金が貯まったら、投資比率をアップしてみよう~

秋の保険月間にあわせてFP相談室人気講師に「もし、FP相談室講師がソニーグループ社員ならどんな資産形成をし、保険を利用するか?」についてモデルプランを作成いただきました!30代シングルのモデルプランは一色徹太FP・岩永真理FPが担当されています。

ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が資産形成と保険の関係性について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


1.一色講師 30代シングルモデルプラン「基本的な考え方」

今回は、35歳・独身を例に、会社の制度や税制優遇を活用しながら、月6万円の予算で保険加入と資産形成を進める方法をファイナンシャルプランナーの視点から紹介します。

①社内福利厚生制度をフル活用する
ソニーグループのような大企業グループで用意されている福利厚生制度は、スケールメリットが働くため、一般的に個人で同種の制度に加入する場合よりかなり割安な保険料で保障・補償を確保でき、ライフプランの効率的な構築とリスクマネジメントに寄与します。
このため、社内福利厚生制度は最大限利用する、言い換えれば「使い倒す」くらいのほうがよいです。
これは、保険制度、資産形成制度両方に共通していえることです。
例えば、中小・零細企業や新興企業では、このような福利厚生制度を構築することがそもそも物理的にできないのです。

②保障・補償と資産形成・資産運用は分けて考える
例えば、個人で終身保険や変額保険、外貨建保険などに加入し、保障・補償と資産形成・資産運用を1つの商品で行う考え方もありますが、コスト負担が大きくお勧めできません。
資産形成・資産運用においてNISAやDCなどの非課税制度が普及している現状では、「保障・補償と資産形成・資産運用は分けて考える」ほうがよいです。
特に、社内福利厚生制度の各保険制度は保険料が掛け捨てでかなり安いため、浮いた保険料をNISAや会社DCのマッチング拠出に充当するのが、最も効率的かつ資産残高が最大化できる方法といえます。
資産運用・資産形成は、王道の「先取り貯蓄」、つまり給与控除による積み立ても可能な限り行います。

③配偶者や家族・親族も、可能な限り社内福利厚生制度を活用する
上記①については、配偶者や家族・親族にもあてはまります。社内福利厚生制度では、社員本人以外の方が加入できる、あるいは加入対象者になることができる商品がありますので、最大限活用しましょう。
一色講師モデルプラン
一色講師 残高シミュレーション

2.一色講師 30代シングルモデルプラン「ためる・ふやす」
~月53,000円積み立てると、20年後に約1,796万円までの増加が期待できます~

まず、安全性資産として、定期預金の他に総合個人年金に加入します。
所得控除を最大限活用するために、マイプラン(一般生命保険料控除)、ガッチリプラン(個人年金保険料控除)の両方に加入します。
例えば年収を600万円とすると、マイプラン、ガッチリプラン各々で毎年1万円の所得税還付(他の所得控除、税額控除等は考慮せず)が期待できます。
総合個人年金は長期の積み立てになりますので、老後資金以外にも教育資金や住宅取得資金としても活用できます。

次に、リスク性資産としてNISA、会社DCのマッチング拠出(マッチング拠出を導入していないグループ会社の方は、iDeCo(個人型確定拠出年金)でも構いません)、社員持株会に加入します。
筆者のような社外のFPがあくまで客観的に見ても、この3制度の利用が最も効率的かつ資産最大化が目指せる手段といえます。

NISAはご存じのとおり、2024年1月より制度が大幅に拡充され、格段に使い勝手がよくなりました。
つみたて投資枠・成長投資枠という二つの枠を、ご自分のライフプランに併せて有効に活用しましょう。
NISAも、口座開設期間および非課税期間が恒久化されていますので、老後資金や教育資金、住宅取得資金など幅広く活用できます。

会社DCは、特に老後資金の形成に最も有効です。
NISA同様売却益が非課税のため、しっかり運用すれば、60歳以降の引き出し時に相当な金額になります。
受け取り方も一時金、年金、一時金と年金の組み合わせ、と選べるため使い勝手もよいです。

持株会はなんといっても奨励金があるのが大きいです。
もちろん株式投資ですのでリスク性資産に位置づけられますが、奨励金や配当金、毎月購入であることを勘案すると、相対的なリスクはかなり低下します。
一方、株式ですので期待収益率は、少なくとも今回設定の4%以上は十分見込めるでしょう。
こちらもフル活用したいところです。

3.一色講師 30代シングルモデルプラン「まもる」 社内福利厚生制度をフル活用する
~月約3,200円で死亡・医療・がん・長期休業をパーフェクトカバー~

前述の「基本的な考え方」に基づき、社内福利厚生制度をフル活用して保障・補償を確保します。
まず、独身ではありますが、万一の場合はお葬式代含め費用がかかりますので、グループ保険に保険金額1,000万円で加入します。
保険料は月約3,200円ですが、配当金の戻りが翌年度に期待できますので、実質的な負担はほぼ半額の月約1,600円程度で済みます。

病気・ケガによる入院や手術については、セーフティプランに加入しカバーします。
ここでは入院給付金日額6,000円のBタイプに加入します。
筆者のような社外のFPが客観的に見ても、セーフティプランは非常によくできた制度かつ保険料が安く、大変お勧めです。
また、2026年よりオプションプランのがん治療サポートプランが改良され、保険金額が増額されましたので、こちらへも加入します。

35歳という年齢を考慮しますと、「がん保障の必要性は低いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、筆者の父親は35歳の時に直腸がんステージ4の宣告を受け、人工肛門等で3年間闘病しましたが、38歳で他界しました。
やはり、がんは年齢を問わず怖い病気です。
がん治療サポートは保険料が大変安いため、加入しておくと家族・親族のためにも安心といえるでしょう。
GLTD(長期休業補償プラン)も、万一の場合の長期休業リスクに備える手段として加入しておきたい商品です。

最後に、介護両立支援プランに、本人の両親を対象に加入します。
筆者は民間の介護保険商品を常時ウォッチし30~40商品の動向をチェックしていますが、介護両立支援プランは民間の介護保険商品よりも相対的に保険料が安いです。
もちろん、更新に伴い保険料が上昇しますが、介護については早い段階からの準備が必要です。
この分野も会社の制度を利用すると効率的といえます。

4.一色講師 30代シングルモデルプラン「まとめ」

繰り返しになりますが、以下の二点が重要です。

①社内福利厚生制度をフル活用する(配偶者や家族・親族も可能な限り利用する)。
②保障・補償と資産形成・資産運用は分けて考える。保障・保障は社内福利厚生制度を、資産形成・資産運用はNISA、会社DC、社内持株会をフル活用する。

皆さまはソニーグループの社員で、会社の制度を利用できるよいお立場にあります。
また、制度を用意する会社は「社員の皆さんの家計構築やリスクマネジメントの役にたてるよう、なるべく良い制度を作って提供している」のです。
筆者のような個人事業主から見たら、うらやましい限りです(筆者は保険:全て個人加入、DC:iDeCo(手数料が毎月171円かかっています)です)。
秋の保険月間を機に、皆さんも社内福利厚生各制度の活用をご検討いただけますと幸いです。

5.岩永講師 30代シングルモデルプラン「ためる・ふやす」
~月58,000円の積立で20年後に約2,028万円を目指す~

35歳のシングルの女性(住宅ローンあり)を例に、会社の制度や税制優遇を活用しながら、月6万円の予算で保険加入と資産形成を進める方法をファイナンシャルプランナーの視点から紹介します。
岩永講師モデルプラン
岩永講師残高シミュレーション
・20代は緊急資金へ備えるために貯蓄を優先したが、緊急資金が十分に確保できたら30代では投資比率をアップし長期投資をスタート
・まだ投資初心者であることから、持株会・DCマッチング・NISAへそれぞれ分散投資

6.岩永講師 30代シングルモデルプラン「まもる」保険でリスクに備える
~月約2,000円の手軽な保険料で最低限の保障を確保~

・ソニー健保の保障が厚いため、万一の入院時の差額ベ代や先進医療への備えをセーフティプランで準備
・住宅ローンを組むことを想定し、万一働けなくなった際の住宅ローン支払額相当分程度を長期休業保障プランで確保

7.岩永講師 30代シングルモデルプラン「まとめ」

・安全資産の確保を優先した20代から、30代はリスク資産割合を増やしていくとよいでしょう。
・ライフイベント(結婚・出産など)に応じてグループ保険などの加入なども検討してもよいでしょう。
・DCマッチングは60歳までおろせないことに注意。持株会も実質株式投資であることを認識した上で行いましょう。