コラム

5つの制度の活用事例や新制度の特集コラムを掲載しております。

FP相談室講師による特別寄稿
2022.04.26

資産形成の第一歩(2)

資産形成の第一歩(2)

今月より毎月(株)ポラーノ・コンサルティング代表のファイナンシャルプランナーであり、FP相談室講師でもある深澤泉さんに保険コラムを執筆していただきます。
著者の深澤さんはFP相談室設立当初よりFP相談を担当されており、 独立後も外部コンサルタントとして各TECの相談を担当。会社の各種制度を熟知して、ソニー社員ならではの悩みを解決していらっしゃいます。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が一例として資産形成に対する考え方を示したものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


資産形成の必要性と資産形成を効果的に行う4つのツボを解説した資産形成の第一歩(1)につづき、この記事では実際に資産形成に活用したいソニーグループ内外の制度について具体的に解説をしていきます。

4. 資産形成のツボを押さえた制度を活用

わが国では、前述のような資産形成のツボを押さえた制度で、個人で取り組めるものが2つあります。

(1)つみたてNISA
口座を開設年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者が、年間40万円までの投資額から発生する運用収益が最長20年間非課税となります。2037年まで新規で投資することが可能です。
投資商品は一定の要件を満たす投資信託に限定され、必要な時にいつでも引き出しができます。

(2)確定拠出年金(マッチング拠出またはiDeCo(イデコ))
確定拠出年金のうち、マッチング拠出は、企業型の確定拠出年金において個人が掛金を拠出することが認められているものです。イデコは個人が加入する確定拠出年金で、会社員、公務員、個人事業主、専業主婦などで年間の拠出可能額が異なります。勤務先でマッチング拠出制度がある場合は、イデコに加入することはできませんが、2022年10月からは、いずれか選択して加入することができます。
いずれも個人で掛金を拠出し、定期預金、個人年金保険、投資信託などの金融商品で運用しますが、1年間に支払った掛金は、支払った人の課税所得から控除され、所得税・住民税が軽減されます。この点はNISAと異なる税制の優遇措置です。
なお、運用収益は受給する時に課税されます(課税の繰延べ)。
資金の使途は老後資金に限定されており、原則として60歳まで引き出しできません。今年の5月からの法改正で、イデコは国民年金の被保険者となれば65歳まで加入することができます。

5. ソニーグループ社員の福利厚生制度を活用する

皆さんの場合には、資産形成で活用する金融商品について、福利厚生制度を活用する選択肢があります。
一般的な金融商品と比較検討して、商品特性を有効活用しましょう。これらの商品はすべて給与控除なので、資産形成を習慣化することができます。
事業所により制度が異なる場合がありますので、ご了承ください。

(1)財形貯蓄
資産形成が苦手な人も、給与や賞与から天引きして積み立てていく制度なので、自然と資産形成が可能です。
ただし、活用する金融商品は、元本の安全性が高いものであるため、現状では運用収益は期待できません。現金化する場合も、一定の時間を要する点にも注意が必要です。

(2)総合個人年金
生命保険の個人年金保険を活用したソニーグループ共通の商品です。元本の安全性が高い上に予定利率が現在年1.25%となっており、好利回りです。
老後資金の準備のほか、「マイプラン」のコースを選択した場合、教育資金・住宅資金・災害などのためであれば、1年に1回一部引き出しができます。
もちろん老後資金として、一定期間の年金のほか、15年保証期間付き終身年金として受給することも可能です。支払保険料は一部または全部が生命保険料控除として所得控除、つまり課税所得を引き下げる効果があります。

(3)ソニー社員持株会
ソニーグループ株式会社の株式を、毎月・賞与時に定額ずつ積立購入していきます。
通常、株式を1単元株購入するためには多額の資金が必要になりますが、持株会は少額の資金で自社の株式を購入することが可能となります。定時定額の購入ですので、前述の「ドルコスト平均法」の効果が期待できます。また、会社からの奨励金があります。

6. さいごに

資産形成の第一歩を様々観点で見てきました。資産形成を長く習慣化すること、そこに少しだけ「リスクを取る」というスパイスを加えれば、効果的な資産形成を行うことができるでしょう。
まずは資産形成に一歩を踏み出し、「人生100年時代」を豊かにしていただきたいと思います。