コラム

5つの制度の活用事例や新制度の特集コラムを掲載しております。

FP相談室講師による特別寄稿
2022.05.25

公的保障を知る!(1)~健康保険について~

公的保障を知る!(1)~健康保険について~

毎月(株)ポラーノ・コンサルティング代表のファイナンシャルプランナーであり、FP相談室講師でもある深澤泉さんに保険コラムを執筆していただきます。
著者の深澤さんはFP相談室設立当初よりFP相談を担当されており、 独立後も外部コンサルタントとして各TECの相談を担当。会社の各種制度を熟知して、ソニー社員ならではの悩みを解決していらっしゃいます。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が公的保障について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


1.はじめに

私たちの生活ではさまざまなリスクがあります。それらをカバーする公的保障のうち、健康保険について見ていきます。
健康保険については、ソニーグループで働く皆様はソニー健康保険組合(健保組合)に加入されています。健保組合独自の法定給付の上乗せである「付加給付」についても、あわせて解説します。
さらに公的年金の障害給付・遺族給付の概要についても解説します 。

私たちが健康保険や公的年金の給付を知るメリットのひとつに、医療保険や生命保険に加入する際に合理的な設計ができることが挙げられます。
まずは公的保障をベースにして、公的保障で足りない部分や、公的保障にはない部分を、保険商品などを活用して保障する視点です。このようにすれば、ムダな保険料を負担することなく、必要な保障だけを準備することができます。

2.健康保険の主な給付

被保険者・被扶養者が、健康保険を使うことができる診療等を受けたとき、医療機関で3割(小学校入学前の被扶養者は2割)の自己負担(一部負担金)ですみます(療養の給付・家族療養費)。
ここでは、これ以外の主な給付、特にリスクによる損失の規模が大きいものをカバーする給付について解説します。

(1) 高額療養費
健康保険が使える診療等にかかる医療機関の窓口での一部負担金の額が、1人・1ヵ月・1医療機関で限度額を超えた場合、一定額(月収区分によって異なります)を超えた分が還付されるものです。
さらに健保組合の付加給付があり、1ヵ月1医療機関について2万円の自己負担で済みます。
1ヵ月の一部負担金が高額になることが予想される場合は、あらかじめ「限度額適用認定申請書」を健保組合に提出しておくと、一時的に立て替える医療費が少なくすることができます。
健康保険が使えない医療サービス、例えば入院時の差額ベッド代や先進医療の費用などは全額自己負担となりますので、注意が必要です。

(2) 傷病手当金
業務外の病気やケガにより3日連続で休んだ後、さらに休んで会社から給料が支払われない場合、健保組合から傷病手当金が支払われます。
法定では月収の67%相当額ですが、健保組合では付加給付があり、月収の85%相当額が通算して最長3年(事業所・従業員により異なります)が支払われます。
賞与に関する部分の給付がない点に注意が必要です。また、この給付は被扶養者にはありません。
disability allowance2.png
(3) (家族)出産育児一時金
出産にかかる費用をカバーするもので、被保険者・被扶養者を対象とします。1児について42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合は40.8万円)です。
健保組合では1児について、さらに20万円の付加給付があります。

(4) 出産手当金
女性の被保険者が出産の前後に仕事を休んでいた期間に会社から給料が支払われない場合、健保組合から支払われます。
法定では月収の67%相当額ですが、健保組合では付加給付があり、月収の85%相当額がその期間支払われます。この給付は被扶養者にはありません。

次の公的保障を知る!(2)では、公的年金(障害給付・遺族給付)について具体的に説明をいたします。