コラム

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FP相談室講師による特別寄稿
2022.05.26

公的保障を知る!(2)~公的年金(障害給付・遺族給付)について~

公的保障を知る!(2)~公的年金(障害給付・遺族給付)について~

毎月(株)ポラーノ・コンサルティング代表のファイナンシャルプランナーであり、FP相談室講師でもある深澤泉さんに保険コラムを執筆していただきます。
著者の深澤さんはFP相談室設立当初よりFP相談を担当されており、 独立後も外部コンサルタントとして各TECの相談を担当。会社の各種制度を熟知して、ソニー社員ならではの悩みを解決していらっしゃいます。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が公的保障について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


健康保険について解説した公的保障を知る!(1)につづき、この記事では公的年金(障害給付・遺族給付)について解説をしていきます。

3.公的年金

公的年金というと、老齢給付を思い浮かべる方も多いと思いますが、被保険者が一定の障害状態になったときの給付や、被保険者が死亡したときの遺族に対する給付があります。
本稿では、在職中のリスクに焦点を当て、公的年金のうち、障害・遺族給付の概要について見ていきます。

(1)障害給付
①障害の程度
障害給付のうち障害年金が支払われる状態とは、次の1級から3級です。
1級は、他人の介助を受けなければ日常生活が営めないレベルをいいます。
例えば、身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない状態です。自宅内の生活であれば、活動の範囲がおおむね寝室内に限られるものです。
2級は、必ずしも他人の助けを借りる必要はないものの、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができないレベルをいいます。
例えば、簡単な食事作りや下着程度の洗濯はできますが、それ以上の活動はできない状態です。
3級は、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものです。
詳細は、以下日本年金機構のウェブサイトを参考にしてください。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html

②障害給付
1級・2級の障害状態となった時に障害基礎年金、1級・2級・3級の障害状態となった時に障害厚生年金が支給されます。
障害基礎年金は定額で支払われ、2級の場合は年額約77万円、1級の場合は25%増の年額約97万円となっています。
障害厚生年金は、受給できる権利が発生したときまでの被保険者の平均的な収入や被保険者期間により年金額が異なりますが、被保険者期間が短い人でも、25年加入したと仮定した年金額が最低保証されています 。
例えば年収600万円の人の場合、2級の障害厚生年金は年額約82万円です。障害厚生年金については、3級より軽い一定の障害が残った場合に障害手当金(一時金)が支払われます。

(2)遺族給付
遺族給付は、被保険者が死亡したときに、遺族に支払われるものです。
原則 として18歳未満の子のある配偶者または子に遺族基礎年金が定額で支給されます。例えば18歳未満の子が1人いる配偶者には年額約100万円になります。
遺族厚生年金も、受給できる権利が発生したときまでの被保険者の平均的な収入により年金額が異なりますが、25年加入したと仮定した年金額が最低保証されています。夫が遺族の場合は、妻が死亡したときの夫の年齢が55歳以上であることが必要で、支給開始は60歳からになります。ただし遺族基礎年金受給できる場合は60歳未満でも支給されます。
また、遺族厚生年金と遺族基礎年金を併せて受給していた妻の場合、その子が18歳に達したら、遺族基礎年金に代わって中高齢の寡婦加算(年額約58万円)が、その妻が65歳に達するまで遺族厚生年金に加算されます。
遺族給付には、遺族の年収が850万円を超えていないという要件がある点に注意してください。

4.さいごに~保障設計のベースに~

いかがでしたでしょうか。これらの知識を、ご自身の保障設計に是非役立ててください。
独力で設計を行うことが難しい場合は、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談しましょう。