コラム

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FP相談室講師による特別寄稿
2022.12.21

子どもの教育費の目安とその準備方法(1)

子どもの教育費の目安とその準備方法(1)

毎月(株)ポラーノ・コンサルティング代表のファイナンシャルプランナーであり、FP相談室講師でもある深澤泉さんに保険コラムを執筆していただきます。
著者の深澤さんはFP相談室設立当初よりFP相談を担当されており、 独立後も外部コンサルタントとして各TECの相談を担当。会社の各種制度を熟知して、ソニー社員ならではの悩みを解決していらっしゃいます。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が教育費について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


1.教育費の特徴

本稿での「教育費」とは、昨今の幼保無償化を踏まえ、小学校から大学までの教育に係る費用(学校教育費・学校外教育費)とします。
 最初に、教育費の資金としての特徴を押さえておきましょう。
 1点目は、学校への学費の納付について、必要となる時期が明確になっていて、さらに納付の時期が限定されていることです。
 2点目は、子どもが就学してから、一般的には大学を卒業するまでの15年前後の期間、長期的にかかる資金であることです。
 3点目は、子どもの教育コースは、当初想定していたものと変わってくる可能性があります。
例えば、
・当初公立学校を想定したけれども私立学校に進学した
・子どもの特技を活かして音楽やスポーツの活動に力を入れることになった
・留学をすることになった
など、教育費が想定よりも大幅に増えるケースも考えられます。
 このような状況に備えるため、教育費は準備する資金に余裕をもって、計画的に行うことが重要です。さらに学校への納付がスムーズに行えるよう、現金化しやすい金融商品も組み入れておくことも考えておきましょう。

2.公立・私立で費用は異なる

前述のように、子どもが通う学校が公立か、私立かで費用は大きく異なります。
高等学校については、「高等学校等就学支援金」(所得によって補助額が異なります)が高等学校の学費に充当され、実質負担額が軽減されています。

<学習費総額(1年当たり)>       (円)

小学校 中学校 高校
公立 私立 公立 私立 公立 私立
学校教育費 63,102 904,164 138,961 1,071,438 280,487 719,051
学校給食費 43,728 47,638 42,945 3,731
学校外活動費 214,451 646,889 306,491 331,264 176,893 250,860
学習費総額 321,281 1,598,691 488,397 1,406,433 457,380 969,911

※「平成30年度子供の学習費調査」(文部科学省)より抜粋して筆者作成

<大学の初年度納付金>      (円)

区分 国立 私立文系 私立理系
授業料 535,800 815,069 1,136,074
入学料 282,000 225,651 251,029
施設設備費 148,272 179,159
合計 817,800 1,188,991 1,566,262

※「令和3年度私立大学入学者に係る初年度納付金平均額」「国公立大学の授業料等の推移」(文部科学省)

例えば、小学校から大学まですべて公立とした場合の教育費の総額は、約719万円となります。
一方、小学校を公立、中学校・高等学校を私立、大学を私立理系の場合は、約1,385万円となります。
このように、公立・私立のコース別で係る費用は大きく異なります。データを参考にしながら、今後かかってくる教育費を大まかに見積もっておきましょう。
また、教育コースが変更となるケースにも備えておきましょう。

3.大学の時期の資金準備の留意点

大学の学費は文系・理系の区分だけではなく、専攻によってはかなり高額となるものがあります。
医科・歯科・薬学をはじめとする医療系が代表的ですが、他にも音楽・美術などの芸術系、パイロット養成専攻などが挙げられます。
また、海外留学、資格取得のための専門学校のダブルスクール費用、大学院への進学、体育会などの活動費用が必要な場合も考えられます。
さらに自宅を離れて大学に進学するケースもあります。その場合には、教育費以外に住居費や生活費を別途負担する必要があります。
これらすべてを親が捻出することは、老後生活を身近に控えて大きな負担感があります。
どこまで親が負担するのか、子どもがどの程度アルバイトなどでカバーするのか、等について話し合っておくことも必要になるでしょう。

子どもの教育費の目安とその準備方法(2)では、教育資金を準備するための金融商品や教育ローン・奨学金の活用について説明をいたします。