コラム

5つの制度の活用事例や新制度の特集コラムを掲載しております。

FP相談室講師による特別寄稿
2022.12.22

子どもの教育費の目安とその準備方法(2)

子どもの教育費の目安とその準備方法(2)

毎月(株)ポラーノ・コンサルティング代表のファイナンシャルプランナーであり、FP相談室講師でもある深澤泉さんに保険コラムを執筆していただきます。
著者の深澤さんはFP相談室設立当初よりFP相談を担当されており、 独立後も外部コンサルタントとして各TECの相談を担当。会社の各種制度を熟知して、ソニー社員ならではの悩みを解決していらっしゃいます。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が教育費について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


子どもの教育費の目安とその準備方法(1)につづき、この記事では教育資金を準備するための金融商品や教育ローン・奨学金の活用について保障のポイントを解説をしていきます。

4.教育資金を準備するための金融商品

<預貯金>
元本の安全性が高いのですが、運用収益は見込めません。
教育機関に授業料を振り込むための流動性にも優れていますので、まずはこの預貯金をベースとして、以下の様な金融商品を組み合わせながら準備してはいかがでしょうか。

<学資保険>
子どもが誕生して加入するケースが多いと思いますので、計画的に準備ができるメリットがあります。
生命保険料控除を適用しながら積み立てていくことになるので、保険料支払い時の税制のメリットを享受することもできます。
昨今の低金利で利回りは低いのですが、保障部分にかかる保険料を少なくして、好利回りを確保している商品があります。

<終身保険の解約返戻金>
終身保険に契約後15年以上など一定期間経過したときに解約し、その返戻金を教育資金に活用する提案している生命保険会社があるようです。
契約後短期間で解約すると、解約返戻金が払込保険料相当額よりも少なくなることがあります。外貨建てのものは好利回りなのですが、為替リスクがある点に注意が必要です。

<つみたてNISA>
年間40万円を最大20年投資信託等で積み立てを継続することができ、そこから発生する運用収益が非課税となる制度です。
積み立てのしくみなので、ドル・コスト平均法によりリスクを軽減しながら預貯金金利を上回る収益を得ることが期待できますが、元本の保証はありません。
児童手当をつみたてNISAで運用する方法も一案です。

この制度は令和5年度の税制改正大網によれば、2024年1月から積立額が年間120万円(別途、現行の一般NISAを引き継ぐ制度で240万円の投資枠との併用可)、投資期間が無制限、非課税限度額が1,800万円となる予定です。

<総合個人年金>
ソニーグループ社員の皆さんには、総合個人年金の「マイプラン」を活用する選択肢もあります。
ある程度の積立金ができたら、1年に1回、中途引き出しの制度を活用して教育資金とする方法です。
元本の安全性の高い商品ですが、他の同様の商品と比較して相対的に好利回りです。この商品も生命保険ですので、生命保険料控除を活用することができます。

5.教育資金が準備できないとき

<教育ローンの活用>
ローンを活用する場合は、安易にカードローンに頼ることは避け、資金の使途を教育費に限定した教育ローンを選択しましょう。
日本政策金融公庫の国の教育ローンは、低い利率の固定金利で借り入れが可能ですが、子どもの人数に応じた親の所得要件があり、一定水準を超えると利用できません。その場合は銀行などの教育ローンを選択することになります。
教育ローンを利用する場合の注意点としては、一般的に借入枠を設定して、1年ごとに必要な教育費相当分が都度融資される点です。
例えば、大学の学費の総額が500万円かかるので入学初年度に500万円一度に融資される、ということはありません。

<奨学金の活用>
奨学金は貸与されるものと給付されるものがあります。
給付されるタイプは、返済は不要ですが、親の年収や本人の学業成績など、様々な条件があります。
最も重要なことは、奨学金は子ども自身が借り入れて、その子どもが就職したら自身で返済する点です。
子どもにとって社会人となって早々に過度な負債を抱えることにならないよう、貸与額を決めたいものです。

6.祖父母からの贈与を活用

祖父母が30歳未満の孫の教育資金として金融機関に金銭を信託した場合、贈与を受ける孫1人について1,500万円まで贈与税が非課税となる制度があります。
祖父母が一定の現金を保有している人で、相続対策を兼ねて活用したい場合は、選択肢の一つと考えられます。
この制度は令和5年税制改正大網で2026年3月まで延長されることになる予定です。

7.まとめ

子どもの教育費の準備をできるだけ早期に始めれば、1回当たりの積立額が少なくて済みます。教育ローンや奨学金に頼らない資金計画ができます。
その結果、老後資金の準備も余裕を持って取り組むこともでき、ライフプランニングによい流れができます。
準備で活用する金融商品は、商品特性を十分に考慮して選択しましょう。