コラム

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FP相談室講師による特別寄稿
2023.02.27

先進医療とその費用への備え方(2)

先進医療とその費用への備え方(2)

毎月(株)ポラーノ・コンサルティング代表のファイナンシャルプランナーであり、FP相談室講師でもある深澤泉さんに保険コラムを執筆していただきます。
著者の深澤さんはFP相談室設立当初よりFP相談を担当されており、 独立後も外部コンサルタントとして各TECの相談を担当。会社の各種制度を熟知して、ソニー社員ならではの悩みを解決していらっしゃいます。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が先進医療について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


先進医療とその費用への備え方(1)につづき、この記事では先進医療に備える方法について解説をしていきます。

6.先進医療に備える方法~地方自治体の助成・貸付制度~

先進医療を行う医療機関がある自治体では、高額となる医療費を助成するところがあります。
例えば神奈川県では、県立がんセンターの重粒子線治療を受ける神奈川県内の患者を対象に、公的医療保険の対象とならない治療費の一部(上限35万円)を助成する制度があります。

さらに神奈川県民が県立がんセンターで重粒子線治療を受診するために金融機関から貸付を受けた場合、利子に対する補てん金(利子補給)を行う制度もあります。
ただし、後述の先進医療を保障する保険商品に加入して保険金を受け取る場合は、助成・利子補給制度は利用できません。

7.先進医療に備える方法~保険商品~

高額となる可能性のある先進医療を安心して受診するためには、保険商品で備えておくことも選択肢です。
現状ではイメージできなくても、将来受診できる選択肢を確保するため、一般的に、死亡保障や医療保障を行なう保険商品に特約で付保します。一部先進医療に関する保障を主契約とした商品もあります。

先進医療に関する保障内容は、先進医療の技術料に加えて、先進医療を受けるための諸費用に関する保険金を定額で支払われるものが一般的です。
先進医療の技術料の支払限度額が設定されており、1,000万円や2,000万円となっています。

保険金の支払い要件は、受診したときに当該診療が先進医療となっていることです。
保険に加入した時は先進医療となっていても、受診する時に先進医療となっていない場合(保険診療に移行するか、取り下げられた場合)は保険金支払いの対象となりません。
前述の「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は、従来は先進医療を保障する保険商品の保険金の支払いの対象となっていましたが、現在では対象外となっていますので、注意してください。

せっかく先進医療の保障を確保しても、保険金の支払いよりも早いタイミングで医療機関に高額な支払いが発生すれば、資金繰りが大変です。
そこで、保険会社によっては医療機関に直接保険金を支払うサービスを設け、加入者が一時的に先進医療の費用を立て替える必要がないようにしているところがあります。

ソニーグループの社員にみなさんにおなじみの「セーフティプラン(本人・ファミリーコース)」では、先進医療に関する保障が基本契約でセットされています。
支払限度額は、入院保険金の違いによるタイプにかかわらず、1,000万円となっています(傷害のみ保障するEタイプを除きます)。

加えて、先進医療を受けるための医療機関との間の交通費(転院・退院を含みます)、先進医療を受けるための宿泊費(1泊につき1万円限度)が実費で支払われます。
先進医療を受診できる医療機関が限定されており、自宅から遠い場所で宿泊をともなう受診が想定されるため、このような保障内容が設定されています。

8.さいごに

医療技術の進歩で、私たちが疾病等の完治を目指す治療方法も時々刻々と変化を遂げています。
長い人生では、病と闘う局面も想定されます。そのときに最先端の医療技術を活用できる選択肢を持っておくことも、有効なことであるかもしれません。