コラム

5つの制度の活用事例や新制度の特集コラムを掲載しております。

FP相談室講師による特別寄稿
2025.08.22

介護保険外サービスとは ② 介護保険外サービス利用者の声

介護保険外サービスとは ② 介護保険外サービス利用者の声

毎月、FP相談室講師にコラムを執筆していただきます。今回は介護支援専門員 川上由里子さんがご担当です。

ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が介護・福利厚生保険制度の有効活用について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


皆さんこんにちは  近年利用者が増えている「介護保険外サービス」。
前編は公的介護保険サービスとの違い、介護サービスの全体像についてご確認いただきました。
後編では、具体的な介護保険外サービスと、実際に活用した人の声をお届します。
介護は100人100通りですが、保険外サービスをプラスすることで一人ひとりのニーズに応じた細かなサポートを受けられ、働きながらの介護が可能となります。
どんなサービスがありどのように活用できるのか、ご参考にしてください。


1.介護保険外サービスの種類

相談やお問い合わせの多い、代表的な介護保険外サービスをご紹介します。

①家事代行サービス
②緊急通報サービス
③安否確認・見守りサービス
④配食サービス
⑤運動・トレーニング・リハビリ
⑥外出支援(移送)サービス
⑦介護者のためのサロン・カフェ

これらのサービスは、高齢者自身と家族の両方に価値のあるサービスと、主に家族に価値のあるサービスがあります。
介護予防、社会参加支援、日常生活支援、生活機能維持、療養支援と、家族への支援として企業における仕事と介護の両立支援制度も含まれます。
介護が必要になった人のみならず予防が必要な自立高齢者や支える家族が利用できることがわかります。
下の図表を参考にしてみてください。
介護保険提供外サービス

2.介護保険外サービスの活用法

介護保険外サービスの活用法

3.介護保険外サービスを利用した人の声

このように、暮らしに役立つさまざまな民間サービスや地域サービスが増えています。
次に、働きながら介護する人の介護保険外サービス活用の実例をご紹介します。皆さんにもあてまはるケースがあることでしょう。
さまざまなアイデアやヒントを学んでみましょう。
介護保険外サービスを利用した人の声

4.保険外サービス活用/福利厚生制度「仕事と介護の両立支援」保険活用

最後に、介護の備えに必要性を感じ、ソニーグループ社員の福利厚生制度「介護両立支援プラン」に加入した社員Gさんの実践ケースをご紹介します。

Gさん56歳男性 父親母親ともに82歳 / 父親を対象者として介護に備える「介護両立支援プラン」加入

●介護の状況

高齢の両親は二人暮らし。
弟と見守っていたが、数年前より母親に認知症の症状が出現し、在宅介護を経てグループホーム(認知症対応型共同生活介護)に入所。同時に父親は一人暮らしとなった。
母親のグループホーム入居費用は月15万円以上がかかり、その時、会社の福利厚生保険制度の案内があり、「介護両立支援プラン」にピンときた。
父親の将来の介護に備え加入。その後、父が転倒し圧迫骨折。介護が必要な状態となった。
配食・訪問介護などを利用し現在は小規模多機能型居宅介護(通い・泊り・訪問サービス)を利用中。
両親同時のダブル、情報や時間も必要だが、介護費用は想定外に膨らみ親の資産だけでは賄えない。
経済的な負担は子世代にも大きく影響する。

●工夫したこと/将来に備え保険の加入・活用

介護初期は、介護保険にはない父親の配食サービス費用、家事支援(保険外)費用を活用。
庭の掃除や除草、介護で忙しい自分の自宅の家事代行もお願いでき助かった。
近年は介護の必要度が高まり、小規模多機能型居宅介護サービスを利用している。
その食事代もカバーしている。
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①配食サービス費用と小規模多機能型居宅介護の食事代
②福祉用具のレンタル(介護ベッド・浴室と玄関の手すり)
③家事代行サービス(父親と自分の自宅の掃除、庭の除草など)シルバー人材センター
④介護保険内のサービス利用自己負担額
―――
介護サービス代金(保険内+保険外)は約10万円/月は、介護両立支援プランで補われている
それ以外の医療費は父が自身で支払い

●社員の声

会社の提供している両立支援制度はさまざまあるが、福利厚生制度である働く側を支援する保険に加入の理由は、母の介護による経済的負担に驚いたことです。
ここに父の介護費用も追加されたら、という危機感がありました。
実際、両親のダブル介護に直面。在宅介護費用もいつまで続くかわかりません。
介護にはお金がかかります。「介護両立支援プラン」に加入していたため躊躇しないで介護保険内と保険外のサービスを利用できています。
おかげで仕事と介護の両立ができ大変助かっています。
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●仕事と介護の両立支援コンサルタントからのコメント

ご両親のダブル介護、公的介護保険制度を利用しても、母親の施設入所費用と父親の介護費費用は月20万円以上必要となり大きな負担がかかります。
母親の介護経験からいざという時に備え、お勤め先の福利厚生保険制度「介護両立支援プラン」に加入していたことが役に立ちましたね。
働きながら介護を行うGさんの行動は、「躊躇しないでサービス利用ができ助かっている」という言葉につながり、まさに前向きな備えと活用両立プラン実践例です。

介護は暮らしの一部です。介護に必要となる情報・時間・お金。介護保険外サービスの活用も視野にいれながら仕事と介護の両立をマネジメントしてみましょう。
働く皆様の仕事と介護の両立を応援しています。