がん保険のトレンドとソニーグループ福利厚生保険制度 セーフティプラン「がん治療サポート」の強み②

5つの制度の活用事例や新制度の特集コラムを掲載しております。
毎月、FP講師にコラムを執筆していただきます。今回は黒田尚子FPオフィスの代表で、特にがん治療のメディカルファイナンス(病気時の資金繰り)をご専門にされている黒田尚子さんに保険コラムを執筆していただきます。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP講師ががん治療費と保険の関係性について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。
前回のコラムで解説した
・民間がん保険のトレンドとがん治療の変化
・がん保険は「終身型」と「定期型」、どちらを選択すべき?
に続き、 本コラムでは、ソニーグループの福利厚生保険制度「がん治療サポート」の強みについて解説いただきます。
ソニーグループの福利厚生保険制度「がん治療サポート」は、このような最近のがん治療トレンドを踏まえて、加入者のニーズに応えるように設計されています。
民間のがん保険と比較すると、その強みは大きく2つあります。
1つ目は「一時金に特化したシンプルな保障」です。
2026年の変更によって、初めてがん(悪性新生物)と診断された際の診断一時金が、従来の50万円から100万円に拡大しました。
がん治療は、がんに罹患した1年目に、手術、抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン治療などが集中するのがほとんど。
一時金であれば使い道が自由なだけに使い勝手が良く、がん患者さんにとって非常にニーズの高い保障です。
がんにかかる医療費だけでなく、生活費や病院以外でかかる費用など、多岐にわたる出費に対応できるメリットがあります。
また2年目以降は、年に1回を上限として50万円の治療一時金を受け取れます。
前述のとおり、最近のがん保険は、都度給付型とも言われる治療給付金が受けられるタイプが増えています。
ですから、「一時金だけでは保障が足りないのでは?」と気になる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし実は、がん治療に対する保障には注意すべき"落とし穴"があります。
それは、対象となる治療の条件が限定あるいは今の医療に対応しきれていない可能性がある点です。
例えば、抗がん剤治療といえば、通院して点滴で行うようなイメージではありませんか。
しかし、最近の抗がん剤治療は経口薬が処方されるケースも増えています。
ところが、商品の中には、服用タイプは保障の対象外で、「抗がん剤治療をしているのに加入しているがん保険から治療給付金が受け取れない」といった事例も出てきています。
シンプルな一時金型であれば、治療の都度、診断書や明細書を提出する必要もなく、細かな給付条件に制限されることもありません。
さらに、「がん治療サポート」の治療一時金は、給付対象に「がん性疼痛緩和を目的として緩和ケア」が含まれているのも高評価ポイントです。
緩和ケアというと、末期のがん患者さんの「ターミナルケア」の印象が強いため、最近は、「支持療法」という用語も使用されています。
一般的に、緩和ケアは、抗がん剤治療の副作用を抑制あるいはがんによって引き起こされる疼痛への治療が中心です。
あまりなじみがないかもしれませんが、患者さんの生活の質(QOL)を改善・維持するために、早い段階から行われる必要不可欠な治療なのです。
強みの2つ目は「圧倒的に割安な保険料」です。
スケールメリットを活かしている上、今回の変更によって、がんリスクが高まる40代以降の保険料が約20〜35%引き下げられたことは特筆すべき点です。
定期型のがん保険は種類が少なく、保障内容が異なるため単純には比較できないものの、割安な終身型のがん保険の保険料は、おおむね40歳代で2,000円~4,000円、50歳代で3,000円~5,000円程度です。
保険料が割安な分、他の保障を充実させたり、将来に備えて資産運用に回したりといったことも可能です。
さらに、保険料を抑える観点からも、がん治療サポート共済金を「がん(悪性新生物)」と「上皮内新生物」に分けている点も評価しています。
というのも、悪性新生物と異なり、上皮内新生物は浸潤がありません。
血管やリンパ節を通じて他の臓器に転移することがないので、完全に切除できれば、転移や再発の可能性もないのです。
治療負担についても、部位によりますが、悪性新生物に比べて小さく、身体への負担も軽いことがほどんどです。
しかし、最近のがん保険の多くは、上皮内新生物も悪性新生物と同額保障の商品もあります。がん保険の加入の目的が、「がんに罹患して支出が増え、収入が減少する」という経済的リスクに備えることにあるなら、被るリスクに応じた保障設計になっているかどうかは重要だと思います。
今や、がんに罹患して病名告知は当たり前の時代です。
そして、医療現場においては、治療を選択する上で、単なる「インフォームドコンセント(説明と同意)」(医療者が患者に、治療法の選択肢やメリット・リスクを十分に説明し、患者がその説明を理解した上で、「同意」するかどうかを判断)から、「シェアードデシジョンメーキング(共有意思決定)」(患者と医療者が対等な立場で話し合い、一緒に治療法を決めていくプロセス)が重視されるようになってきました。
その背景として、がん治療の選択肢が複雑化し、正しい治療法が一つではなくなったこと。
患者さんの価値観(仕事・家庭・経済状況・人生観)によって、選ぶべき"最適解"が変わってくること。
そして、患者さんが主体的に治療を選ぶことで、納得感が高まり、辛い治療に対して前向きになれる。
引いては生活の質(QOL)も向上する効果があること等があると思います。
ただし、複数の治療法が選べる=選択肢の多さには、それを選び取っていくだけの情報と判断力、そして担保できる経済力が問われます。
この「がん治療サポート」を賢く活用すれば、もしもの時に慌てることなく、安心して治療に専念できる環境を整えることにつながるはずです。
まだ加入されていない方はもちろん、既に加入している方も、この機会に保障内容を見直してみてはいかがでしょうか。