コラム

5つの制度の活用事例や新制度の特集コラムを掲載しております。

FP相談室講師による特別寄稿
2026.07.27

住み続けるための住宅リフォーム①

住み続けるための住宅リフォーム①

毎月、FP相談室講師にコラムを執筆していただきます。今回は介護支援専門員 川上由里子さんがご担当です。

ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が介護・福利厚生保険制度の有効活用について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。


皆さんこんにちは
人生90年が普通のこととなり高齢化が急速に進む日本、高齢者の住まいにも様々な課題が生じています。
みなさんの親の住まいは安全快適ですか?
高齢になっても住み慣れた我が家に住み続けるためには、心身や介護の状況、居住環境を正確にアセスメントした住環境整備が必要となります。
高齢化する親や障がいをもった家族を支えるとき、ケアの視点をもった住環境整備も、支える人には重要な意味をもってきます。
これまで、高齢期の生活の場についてお伝えしましたが、今回は自宅に住み続けるために必要となる、住宅リフォーム情報をお届けします。

1.住宅内で多発している事故

高齢者の事故は実は住み慣れた自宅内でおこっています。
発生場所は、居室、階段、浴室など、歩行時や階段昇降時の転倒・転落は、大腿骨骨折等を起こしやすく、入院を機に寝たきりや認知症の状態に移行するなど、介護を必要とする原因になります。
我が家が、いつのまにか危険な状態になっているのです。まずは自宅を確認してみることから始めましょう。
高齢者が起こしやすい住宅内事故.jpg

2.高齢期のからだの変化にあわせて住環境整備を

このような事故は、本人の不注意と思われがちですが、足腰の筋力低下や視力、聴力などの感覚器機能の変化も影響を及ぼします。
また、段差の多い既存の日本住宅構造が高齢者に適していないということも言えるでしょう。

そこで、介護の備えや支えのためには、住環境整備を視野にいれて対応を検討する必要が生じます。
住宅改修が目指すところは、ただリフォームを行うのではなく、高齢者の生活を改善すること、介護者の負担を軽減し介護しやすい環境を作ることです。
そのためには日常生活の問題点を確認することから始まります。

「最近入浴を嫌がってしていない」
「トイレにいくのを億劫がったり、間に合わないことが増えた」
「外出の機会が減った」
「ドアの取っ手を掴みそこなって後ろに倒れた」

このような変化に対応して、日常生活を観察してみると、寝室から浴室までの移動や浴槽への出入りの困難、浴室・脱衣室の温熱環境や見通しの悪さ、玄関の段差さが無意識に負担となっている、など様々な問題がみえてきます。
自宅内のどの場所で、どのような動作を行う時に問題があるのかを確認し、その上で必要な対応を検討することが大切です。

大切なのは、①我が家の状況を知ること②我が家に住む人たちをよく知ること。
一日の過ごし方、その他の家族との関りから生活動線を安全でシンプルなものに整理していきましょう。
特に浴室では入浴中の溺死等死亡事故につながる事故も多く、ヒートショック予防のための温熱環境など、事故が起こる前から安全に配慮することが求められます。

3.介護保険制度を利用した住宅リフォーム

住宅改修は費用面でもかなりの負担になるだけに、失敗なく適切に実施したいものです。
建築や介護の専門家に相談しながら進めましょう。

介護保険制度のサービスに「住宅改修費の助成金20万円」があります。
この制度を活用することで、専門家のアドバイスを受けながらニーズにあった住宅改修を行うことができ、費用負担を軽減することも可能となります。
利用するためには、介護保険の要介護認定を受け、要支援、要介護に認定された場合に対象となります。

【介護保険制度の住宅改修費支給】
●助成金額上限20万円(1~3割の自己負担分含む)
20万円を分割して複数回の支給を認めている市区町村もあります。
引っ越しや要介護度が3段階以上上がった場合は、再度20万円を上限として支給が受けられる。
20万円を超える改修については、全額利用者負担。

●対象となる工事は手すり設置や段差解消など6種類に限定。

●工事前には必ず担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談が必要。
改修前:支給申請書、住宅改修が必要な理由書、工事費用見積書が必要
改修後:申請には領収書、工事費内訳書、改修前と改修後の写真などが必要。

●手続き(費用)の流れ
利用者が改修費用を全額事業者に支払い、市区町村に申請した後、費用の9~7割の払い戻どしを受ける。
(償還払い方式)事業者の選定は必ずケアマネジャーや地域包括支援センターに相談を。
支給対象となる住宅改修の種類.jpg
申請に必要な書類.jpg
住宅改修利用手順.jpg

4.住宅改修には備えが必要  介護保険以外の公的な援助も活用

住宅改修は、このような介護保険制度下における住宅改修費だけでは賄えないこともあり、資金準備や制度情報収集は必須となります。
充てられる費用を活用することで、よりその人らしい暮らしが実現できます。
親の資金や住環境に使用できる費用も確認しておきましょう。
また、介護保険の住宅改費助成以外にも、住んでいる自治体や社会福祉協議会などで住宅リフォームや設備改修費の助成や融資を受けられる場合があります。
ケアマネジャーや地域包括支援センター、市区町村の担当課などに早めに問い合わせておくことをお勧めします。

〇高齢者住宅改造費助成(市区町村)
〇高齢者住宅設備改修費助成事業(市区町村)

次回は高齢期の住環境整備について、さまざまな工夫とその効果をお伝えします。