住み続けるための住宅リフォーム②
5つの制度の活用事例や新制度の特集コラムを掲載しております。
毎月、FP相談室講師にコラムを執筆していただきます。今回は介護支援専門員 川上由里子さんがご担当です。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が介護・福利厚生保険制度の有効活用について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。
皆さん、こんにちは。前回のコラムでは「住み続けるためのリフォーム」をテーマに、住宅内で発生している事故の現状、住む人に合わせた住環境整備の重要性、そして介護保険制度における住宅改修費の支給制度についてお伝えしました。
筆者自身、約6年間にわたる遠距離介護を経験しましたが、「やってよかったこと」を振り返ると、その上位に住宅リフォームが挙げられます。
本稿では、安心と尊厳と楽しみのための住環境づくりについてご紹介します。
長寿化が進む日本では、住まいで暮らす人が年齢を重ねる一方で、住宅そのものも老朽化していきます。
しかし、将来の高齢期を見据えて早い段階から住まいの整備を考えている方は決して多くありません。
実際には、住宅内で転倒などの事故が起きてから慌てて改修を行ったり、子世代の視点だけでリフォームを進めた結果、設置した手すりが使われないままになっているケースも少なくありません。
住環境の整備は、介護が必要になってから始めるのではなく、その前段階から長期的な視点で計画することが大切です。
では、高齢期に健康で快適な暮らしを続けるためには、どのような点に配慮すればよいのでしょうか。以下の表をご覧ください。
いかがでしょうか。
国土交通省では、既存住宅を改修する際の指針として、「高齢期の健康で快適な暮らしのための8つの配慮事項」を示しています。
例えば、部屋ごとの温度差を小さくする、安全に移動できる動線を確保する、使用頻度の高いトイレへのアクセスを改善する、日常生活でよく利用する空間をできるだけ一体的に使えるようにすることなどが挙げられます。
こうした工夫は、ヒートショックや転倒の予防につながるだけでなく、住まいの中での移動や生活動作をスムーズにし、自立した暮らしを支える基盤となります。
高齢期の住まいづくりで大切なのは、「身体を住まいに合わせる」のではなく、「住まいを住む人に合わせる」という考え方です。
この視点を持ちながら住環境を整えることが、健康で安心できる暮らしにつながるのです。
次に、加齢や病気によって身体機能が低下した場合を想定し、住宅内の主なチェックポイントと起こりやすい問題、その対策、活用できる制度を表にまとめました。
ご自身やご家族の住まいを思い浮かべながらご覧ください。
このように、住環境の整備は、住宅改修(ハード)だけで行うものではありません。
福祉用具、生活用品(モノ)や介護サービス(ヒト)も組み合わせながら、総合的に考えることが大切です。
介護保険制度の住宅改修費支給制度や福祉用具貸与、福祉用具購入費支給制度(上限年間10万円)を利用することで、費用負担を抑えながら環境を整えることができます。
しかし、忘れてはならないのは、自宅は病院や施設ではなく「暮らしの場」であるということです。
安全性や介護しやすさを高めることは重要ですが、それだけを優先すると、住み慣れた家らしさや、その人らしい暮らしが失われてしまうこともあります。
住環境を整える際には、ケアの視点とともに「その人がどのような毎日を送りたいのか」という思いにも目を向けながら進めていくことが大切です。
次回は実例をご紹介します。