ライフプランが変わったタイミングで考えたい保障のポイント(2)

5つの制度の活用事例や新制度の特集コラムを掲載しております。
毎月(株)ポラーノ・コンサルティング代表のファイナンシャルプランナーであり、FP相談室講師でもある深澤泉さんに保険コラムを執筆していただきます。
著者の深澤さんはFP相談室設立当初よりFP相談を担当されており、 独立後も外部コンサルタントとして各TECの相談を担当。会社の各種制度を熟知して、ソニー社員ならではの悩みを解決していらっしゃいます。
ぜひ、皆さまの福利厚生保険制度活用の参考にしてください。
※このコラムはFP相談室講師が福利厚生保険制度について解説をしたものであり、特定の制度や商品の募集ではありません。
ライフプランが変わったタイミングで考えたい保障のポイント(1)につづき、この記事では配偶者の就職・退職、子どもの独立、シングルの方が老後の暮らしを意識したとき、高齢の親の経済状況について保障のポイントを解説をしていきます。
保障のプランニングにおいては、配偶者の継続的な収入があれば、保険商品に依存する部分は小さくてすみます。継続した収入が長くなれば資産形成も順調に行われることも、その一因です。
逆に配偶者が退職して継続的な収入がなくなれば、その分保険商品に依存する部分が大きくなります。そのため、配偶者の就職・退職は保障のプランニングを検討する契機となります。
子どもが大学等を卒業し、社会人となったときは特に死亡保障・就業不能保障を見直す契機となります。保障額を引き下げるなどの見直しを検討しましょう。
一方で皆さん自身も年齢を重ねてくる時期です。退職を見据えて、老後資金の準備にウエイトを置く必要があります。金融資産や退職金の原資を棚卸し、保障額を引き下げることができた資金で、ゆとりある老後生活に向けた資産形成のラストスパートができるように準備をしたいものです。
また、最近は医療保障について関心を持つ相談者が増えています。特に医療技術の進歩に対応できる保障、例えば入院から通院を中心とした保障が確保できているかどうか、がんなどの治療について自らが望む治療(例えば先進医療など)を行うための保障が確保できているかどうか、などの視点でチェックしてほしいと思います。
シングルの方の保障についての考え方はこちらに記載の通りですが、年齢によって検討すべき保障は変わってきます。
例えば、シングルの人が40歳代に入ると、このままシングルのライフプランを継続した場合、自分自身の老後生活が心配になってきます。特に医療や介護について経済面で支援してもらえる親族がいない場合、できるだけ早期にそのための準備をする必要があります。老後の暮らしをできるだけ早くイメージし、医療保障や介護資金を確保することが急務です。
40歳代の人にとって、このような遠い将来のライフプランにかかる資金の準備は、とかく優先順位が低くなり、具体的な行動すら行わないケースが散見されます。介護資金のための資産形成については、給与天引きによる資産形成の制度を活用して、現時点での積立額は少なくても早期に着実に実行することが重要です。
保障に関するプランニングでは、超高齢社会を踏まえて、親世帯の状況も考慮する必要があります。
親世帯の公的年金の収入・保有する資産の状況によっては、子である私たちが経済的な支援をする必要があります。このようなケースでは、親よりも私たちが先に死亡した場合に、親世帯が経済的に困窮する可能性があります。
これに備えるためには、「親に援助している年額×親の平均余命年数」の金額を保険金額とする保険商品に加入する方法があります。親が生存している一定期間の保障となりますので、いわゆる保険料コストの低い「定期保険」が適しています。
また、親の介護に関する費用の問題もあります。子どもの教育資金がかかる時期、老後資金を準備する時期に、介護による離職は避けたいものです。親が介護状態となった場合でも、介護離職を避けるための介護サービスを受けるための費用が確保できるよう、保険商品による備えをライフプランニングに組み込むことも選択肢です。
リスクマネジメントにおいては、今回のコラムのように、ライフプランが変化したタイミングで課題を解決する知恵が求められます。専門家のアドバイスを活用しながら、ぜひ実践してみましょう。