お悩み解決!ご相談事例
介護は「100人いれば100通り」と言われるほど、個別性・専門性が高いもの。自分一人で解決できるものではありません。また、時間の流れとともに状況が変化するのも介護の特徴です。介護する側もされる側も、「初めて」が連続するのです。一人ひとりの悩みは、一つとして同じものはありません。大切なのは、"わたしの場合"をナビゲートしてくれる専門家に相談することです。
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【介護初期】
父が肺がんと骨への転移もあり、入院して放射線治療をしています。現在は痛みもなく状態が落ち着いているため退院しなければなりません。父を自宅でみることができる家族がおらず、退院後はどうすればよいでしょうか。退院後の生活に向けて、まず緊急ショートステイの利用が考えられます。介護保険申請・認定調査が済んでいるかを確認した上で地域包括支援センターに相談し、退院を迫られ困っていることを伝えて、緊急ショートステイの受け入れ先を紹介してもらうと良いでしょう。併せて在宅サービスについても提案してもらえます。施設入居の場合、特別養護老人ホームは体調が安定していることが前提になるため、希望する施設があれば病状を伝えて対応してもらえるか確認してみてください。もう一つの選択肢として「緩和ケア病棟」というものがあります。病状が進行した場合には検討してみてください。
【用語説明】
緊急ショートステイ:介護者が一時的に介護困難となった場合に特養や有料老人ホームなどの居室を利用できる。
地域包括支援センター:介護や医療・生活支援などに総合的に対応してくれる介護の最初の相談窓口。
緩和ケア病棟:がん患者で積極的治療を希望しない人が対象。長期入院はできない。 -
【介護初期〜介護中期】
父が肺の病気を患っており、在宅酸素療法で自宅療養中。最近状態が悪くなり、リハビリに通えなくなりました。入浴やトイレの介助が母の負担になっています。どのような介護サービスを利用するのがよいでしょうか。在宅酸素療法をしているので、訪問看護サービスで看護師に来てもらい、体調管理と併せて入浴介助してもらうのがよいと思います。また、身体の機能を維持するためにリハビリを続けることは大切ですので、理学療法士に自宅に来てもらう訪問リハビリテーションを利用するとよいです。自分でトイレに行くこともリハビリになるので、ポータブルトイレを設置するよりも、トイレに間に合わない不安軽減と失禁防止のため、紙おむつの着用をお話してみてはどうでしょうか。お父様の自尊心を傷つけないよう、無理強いはせず、下着のようにはくパンツタイプなど、受け入れやすいものからすすめてみるのがよいと思います。
【用語解説】
在宅酸素療法:肺の機能が著しく低下、血液中の酸素不足の人が、医師の指示により酸素供給機器を使用して病院以外の場所で酸素を吸入する治療法。
訪問看護:医師の指示に基づき、看護師等が居宅を訪問し健康チェック、療養上の世話、医療的ケアを行う。 -
【介護初期〜介護中期】
遠距離で暮らす父が大腸がんを患い、現在ストーマ(人工肛門)を使用、訪問看護を医療保険で利用しています。母は元気ですが今後のことが心配です。二人とも元気なうちに、長男である自分のもとに呼び寄せたほうがよいでしょうか?呼び寄せには、近くにいる安心感がある反面、デメリットも。生活環境が変わることで介護度が進んでしまうケースや、慣れない同居生活が双方にとってストレスとなり施設に移らざるを得なくなったなど、失敗例もあります。呼び寄せのベストなタイミングはご本人が同居(近居)を望んだ時です。ご本人が望まないうちは呼び寄せることはせず、今後ご本人が「行きたい」と思ったときに素早く対応できるように、電話等でご両親の希望をききながら、まずは情報収集を。呼び寄せた際の相談窓口「地域包括支援センター」や訪問看護ステーションなどの場所を確認し、緊急時の連絡手段や預金通帳、保険証書、印鑑等の保管場所、カードの暗証番号など家族間で確認しておきましょう。
【用語解説】
ストーマ(人工肛門):直腸がんの手術で直腸と肛門を切除した場合や、大腸が閉塞して便が通過できない場合に、腸をお腹から出してつくる排泄口。
呼び寄せ:離れて暮らしている親を、子どもが住む都会などの自宅近くに呼び寄せて、同居または近居をすること。
地域包括支援センター:介護や医療・生活支援などに総合的に対応してくれる介護の最初の相談窓口。
訪問看護:医師の指示に基づき、看護師等が居宅を訪問し健康チェック、療養上の世話、医療的ケアを行う。 -
【介護初期〜介護中期】
一人暮らしの母が大腿骨を骨折、手術入院したところ認知症が進行。その後自宅に帰るも安静にしていられずまた転倒し骨折、現在入院中です。同じことを繰り返さないために施設入居を考えていますが、本人がなじめるか心配です。入院中に認知症が進行してしまうケースは多く、大変ご心配のことと思います。認知症の人のための施設としてグループホームがあります。一度見学に赴き、状況をお話しして入居のご相談をされてみてはどうでしょうか。新しい環境に慣れるまでは落ち着かないかもしれませんが、顔見知りの関係ができれば安心して過ごすことができる可能性が高いと思います。グループホームに空きがない場合は、有料老人ホームという選択肢になります。認知症状の具合によって受け入れてもらえない施設もありますが、少し気持ちが落ち着くような薬や軽い睡眠薬などの調整をしてもらうよう、主治医に相談してみてもいいかもしれません。 また、ホーム入居の際には、通常、主治医はホームと連携している医療機関の先生になります。どういった対応が可能か、ホームの主治医とホームスタッフとしっかりと話し合いの場を持つことが大切です。
【用語解説】
グループホーム:認知症の高齢者を対象とする小規模施設。【介護中期】
父は認知症で要介護3ですが、デイサービスへは「そんなところには行かない」と行ってくれず、病気の母がほとんど一日中介護していて心配です。私は子どもがまだ小さく、週1回実家に顔を出すのがやっとです。お母様がお一人で介護する必要はなく、そもそも一人でできることではありません。また、子育て中のご相談者が自身の生活を犠牲にする必要もありません。まずは現在の状況をケアマネジャーに相談してみてください。その上で、デイサービス以外にも訪問入浴、ショートステイなどの介護サービスや、社会福祉協議会や民間の家事サービスなども検討してみてはいかがでしょうか。デイサービスを嫌がるお父様への"説得"はケアマネジャーやかかりつけ医など専門職にお願いし、お母様の介護負担を軽減することを考えましょう。地域の「高齢者見守りネットワーク」を利用すると、お父様をみる"目"が増えて安心です。また、ご本人が生きがいのある暮らしをすることが何よりも大切です。認知症カフェなど地域の集まりにお父様をお誘いすることもおすすめです。
【用語解説】
デイサービス:日中、デイサービスセンターなどに通ってもらい、食事や入浴、レクリエーションなどを受ける日帰りのサービス。
訪問入浴:看護職員・介護職員が居宅を訪問し、簡易浴槽を持ち込んで入浴・洗髪サービスを行ってくれる。
ショートステイ:特別養護老人ホームなどに短期間宿泊して受けるサービス。介護している家族の精神的・身体的負担を軽くしたいときや、病気や出張のときなどに利用できる。
高齢者見守りネットワーク:高齢者が安心して暮らせる地域づくりを目的とした行政主体の地域ネットワーク。地域により様々な見守りの仕組みがある。
認知症カフェ:認知症の人や、介護する家族が気軽に集えるコミュニティ。スタッフに専門職がいることが多く、個人的な相談もできる。【介護中期〜介護後期】
現在、時短勤務で寝たきりの母を在宅介護中。訪問診療の他、訪問看護、訪問介護、リハビリも利用しています。母もだいぶ慣れてきたので通常勤務に戻したいのですが、今のサービスだと母一人の時間ができてしまうので心配です。在宅で介護するご家族が自分自身のために時間を使うためには、介護・医療スタッフと連携することが必須です。お母様の場合、各種サービスが入っているため2時間以上お一人になることもなく、訪問診療の先生や看護師とすぐに連絡が取りあえる関係性ができているとのことですので、お母様お一人の時間ができたとしても安心のレベルといえます。通常勤務に戻れば給与も元通りになるため、民間の家事サービスを入れることも検討できます。お母様にかかわる専門職はたくさんいます。これからも専門職と連携しながら、ぜひ安心して通常勤務に復帰していただければと思います。
【用語解説】
訪問診療:1~2週間に1回、定期的かつ計画的に医師が居宅を訪問し診療する。
訪問看護:医師の指示に基づき、看護師等が居宅を訪問し健康チェック、療養上の世話、医療的ケアを行う。
訪問介護:ホームヘルパーが居宅を訪問して、入浴、排せつ、食事などの介護や調理、洗濯、掃除などの家事を行う。
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